ライフデザイン・ポートフォリオ(LP)は、Safeology研究所代表の山川が開発した、社会人が自分の人生の核心を探求するためのワークショップ、およびそこで作成される最終的なワークシート(図1)のことを指します。
LPは、東京大学の栗田佳代子氏が日本に導入した、大学教員向けの3日間のティーチング・ポートフォリオ(TP)とアカデミック・ポートフォリオ(AP)作成ワークショップをベースとして、それを社会人向けに1日半に短縮したものです。そして TP や AP では、専任のメンター(話を聞く人)がいたのを、参加者同士がメンターとメンティー(話をする人)を交互に行うという、ピア・メンタリング方式にしたものです。
そして、ナラティブセラピーやオープンダイアローグで使われているリフレクティングの手法も利用し、多角的な探求を行っていきます。
TPでは教育の理念を、APでは教員の活動の理念を、探求しますが、LPでは、社会人が人生の核心(源ともいう)を探求していきます。
ライフデザイン・ポートフォリオWSの構成
LPは、2時間(または1時間半)のモジュールが5つで構成されており、モジュールごとにメンタリングのペアは交代します。また、TPやAPとは違い、文章は書かず、ワークシートに付箋を貼り、それを元にメンターに話をすることで、人生の核心の探求を進めていきます。
LPの5つのモジュールは以下のとおりです。
●モジュール1:傾聴に挑戦してみよう
モジュール2以降で実施する、ピア・メンタリング(お互いに傾聴を行うこと)の練習をします。
●モジュール2:求めているものの探究
自分が現在行っている活動から、何のためにそれを行っているかをメンタリングにより探求し、求めているものを考えます。
●モジュール3:人生の核心をつかむ
モジュール2で行った求めているものの探究を続け、自分の人生の核心を発見するところまで進みます。
●モジュール4:核心に沿った目標設定
自分の人生の核心から見て、現在行っている活動を見直し、新たに取り組む活動を展望します。
●モジュール5:LPのお披露目
出来上がったライフデザイン・ポートフォリオを他の参加者にお披露目します
ライフデザイン・ポートフォリオの効果
社会人向けのLPでは、SOC(Sense of Coherence:首尾一貫指標)で測定し、統計的に有意な向上が見られています。SOCの可尺度として、「把握可能感」、「処理可能感」、「有意味感」の3つがありますが、すべての尺度で向上しています。SOCは、ストレス対処能力や健康保持能力の指標とも言われ、人生の核心を探求し、把握することで、ストレス対処能力があがるというのは、驚くべきことだと思います。
大学生向けにもLPを実施していますが、終了後の自由記述の中で、複数の学生から、多様性の理解の促進、自己肯定感の向上、内発的動機づけの強化、の報告がされています。